【併合13級→併合6級】高次脳機能障害の異議申立で、併合6級に等級変更され、総額約9000万円で解決した事例。
事案の概要
保険会社を通じて行った自賠責の後遺障害等級認定(事前認定)では、併合13級(脾臓摘出13級、頚椎捻挫14級)が認定されていました。
事前認定では、脳の損傷については全く検討されていなかったのですが、事故後、本人の記憶力の低下や性格の変化が気になっていた家族が脳に損傷があるのではないかと疑問に思って相談にいらっしゃいました。
解決の内容
相談者本人や家族から詳しく状況を聞いた上で、カルテを取り寄せて治療状況等の検討や、頭部MRI等の画像所見の再検討を行いました。
その結果、意識障害の程度やMRI等で脳損傷の画像所見が確認されたこと等から、記憶力低下等の症状は脳外傷後の高次脳機能障害による可能性が高いと考えました。
そこで、自賠責に対し、後遺障害等級の再審査(異議申立)を行い、脳の損傷についても後遺障害を認めるよう申立を行ったところ、主張が認められ、新たに脳の損傷による高次脳機能障害第7級を含む併合6級に等級が上がりました。
裁判では、請求が全面的に認められて7900万円での和解が成立しました。
訴訟前に受領した自賠責保険金を含めると総額約9000万円での解決となりました。
ポイント
ご本人には、交通事故に遭った後に記憶力の低下等の症状が出ていたそうですが、保険会社を通じた自賠責の後遺障害等級認定では、記憶力の低下等(脳の損傷)については一切検討されていない状態でした。
より正確な検討を行うために、全てのカルテやMRI等の画像を取り寄せ、綿密な分析を行いました。
画像で脳が損傷していることが確認でき、カルテ等の記載も踏まえると、高次脳機能障害である可能性が高いと考えられました。
そこで、画像判断の結果やカルテの分析結果を添えて、自賠責に脳の後遺障害の再審査を請求しました。自賠責の再審査では、高次脳機能障害が認められ、併合13級だった等級が併合6級となる大幅な等級アップとなりました。
その後、訴訟で損害賠償請求を行い、ほぼ請求どおりの金額で示談することができました。
賠償総額約9000万円での解決となりましたが、このような大きな金額で解決できたのは、脳の後遺障害について正しい評価を受けることができたことが勝因です。
脳の後遺障害が見逃されたままであったなら、賠償総額は比較にならないほど低額であったと思います。
※この事例は、本事務所開設前に担当した事案です。